博士になった象鉛筆の戯言

北関東に生息する博士研究員の独り言をご覧あれ。

国際研究機関でのインターン~2か月を振り返って②~

おはようございます。

Dr. SSLです。

 

昨日は国際研究機関へのインターンに来てから2か月どのような生活を送っているかをご紹介いたしました。

drssl.hatenadiary.jp

 

海外の企業へのインターンや留学に関する記事のようなものは沢山あるのですが、国際研究機関となるとまちまちになってきます。

私も本機関へ応募する際には色々と調べましたが、結局学会が発行する体験記のようなものがほとんどでした。

恐らく皆さんが気になるのは国際研究機関の雰囲気ってどうなの?って事無きがします。

そこで本日は職場の雰囲気について感じ取ったものを3つ記します。

 

1. 圧迫感がない

要するに「これを終わらせられなければ飛び降りろ」みたいなプレッシャーを感じることがないということです。

流石にそんなに酷いことを言う上司はパワハラでどうぞ退場という気もしますが、少なくとも大学で研究をしている私と似た立場の方はよくわかるのではないでしょうか?

勿論、核融合炉の建設を完了し最初の実験を行う年は決まっており、それまでの過程もある程度計画されているため、各ミッションの締め切りがないということではありません。

しかし、上司から特にあれこれ「これを間に合わせろ」等といったプレッシャーを与えられることはここでは稀なようです。

何故?というのは多数の文化が入り混じっている環境ですから一概に上司の国民性が等とは言うことはできませんが、やはり南ヨーロッパという場所の性質やお互いに国や文化も異なるから多少は考えてやろうと言ったものなような気がします。

 

2. 休みをとるのが当たり前

私はインターンの立場ではありますが、それでも月2回の有給のようなものが与えられています。おそらく正規職員も同じ。

しかしながら私は未だ、諸事情によりパリに行かなければならなった一回を除いて休暇をとっていません。

するとびっくり、同じ部屋の職員の方々より「なんで休まないんだ?もったいないじゃないか?」といわれる始末。

私としては仕事が楽しいということもあり単純に休みをとろうと思っていなかっただけなのですが、どうやらこの現状が異端視される模様。

職員の方々に効いてみると、皆さんは月ごとに有給を消費していくということはあまり考えないようですが、2週間、3週間とまとめて休みを取り、少なくとも休みは確実にとるとのこと。

休みを取ってよいと言われてから、「休みをとろうか」等とすぐに考えられないのがインペルダウンに収監される院生の末路なのでしょうか。休みをとるためにストレスを感じてしまいそうです...。

 

3. 意思疎通が大変

私がここに来て最も強く感じた事の一つなのですが、異国間の意思疎通はやはり難しいものなのだと。この点からは言語による問題と国民性の問題と二つの側面が見えます。

本機関での公用語は英語になりますが、英語というものは話す人の母語によって本当に変化する生き物なんですよね...。私の立場での印象としては、ヨーロッパの国々の母語は英語の限流に近いものがほとんどのため、そのような国を母国とする人は母語の方言のごとく英語を話してきます。アクセントだけならばまだよいのですが'(実際はここだけでもかなり厳しい)、母語の単語をそのまま引っ張ってくる人もいます。当然ながら、日本人の英語のアクセントはそのような中でも一際聞き取り辛いものになっている用なのですが、他の国の人たちと違いゆっくりと話す方が多いので、何とかその点でもっているようです(同僚の中国人職員談)。このような言語の問題は、特にミーティングなどで問題になってきます。内容の同じ英語を話しているはずなのに、翻訳機付きの母語を飛ばしまくる会議なのかと思ってしまうこともありました。言葉が聞き取り辛いということは議論した内容の理解度も薄れてしまう。職員の方でもこの点に慣れない方が多いそうです。

もう一つは国民性によるもの。これはルーズかそうでないかといった単純な話です。個人差もあるため100%とは言えないですが、ある国の人は非常に几帳面で計画に従順、とある国の方に予定を把握して貰うこと自体が困難といったような傾向は意識しなくても見えてきます。ただでさえ言語の問題もあるというのに、こんなことまで起こってしまってはストレスを感じたくもないのに感じざるを得ない状況になってきてしまいますよね...。でもこれが慣れてしまうんです笑。最初のころは「あれ?あの事先週も言ったし昨日も言ったけど本当にやっておいてくれるの?」という具合でしたが、現在ではすっかり環境に浸透し、「ああ、あと2回くらいだから2週間先かそこいらくらいにはやっておいてくれるだろう。」といった考えの傾向に変わってきております。まだ職場内でであれば許容はできますが、機関を通した各国とのやり取りを遠隔的に行うといった場面では流石に不味いのではと感じる事もあります。核融合炉を建設するために、その構成機器を世界の各国で分担して手配を進めているのですが、ミーティング等の場で「あの国の仕事が遅い」だとか「あの国の会社の言っていたことが違う」とかそういった話をちらほらと聞きます。何度も建設予定が延期されている背景には、この意思疎通の件も要因の一つとなっているのかもしれません。

 

以上が職場の印象をざっと書いたものになります。

これらの特長は今インターンを行っているところに限る話なのかな?とも思ったのですが、他の某国際原子力機関や某加速器研究機関等で働いた経験のある方曰く、大体どこも似たような感じで、あとは全体的に意識が高い雰囲気があるか位だと聞きました。

 

自分の肌には非常にあった雰囲気ではありますが、良い面と悪い面が混在するがゆえに、まだ決断をできない自分ではあります...。

 

それではまた!